平成18年1月10日
 
 
「今後の教員養成・免許制度の在り方(中間報告)」に対する意見
 
 
全日本教職員連盟
 
 
 
 
1 全日教連の目指す教師像
 
 私たちが目指す教師像は、国民が安心して子供を任せられる学校教育を推進する教職員であり、子供やその保護者等から揺るぎない信頼を得、尊敬される教育専門職である。私たち教職員は、国民の負託に応える教育を確立するために、教育専門職としての使命感に燃え、よりよい教育の創造に邁進しなければならない。そして、これからの社会を担う子供たちに必要な教育の在り方を追究し、積極的に研修に励むことによって自らの資質を向上させ、子供たちの可能性を伸ばすと共に、子供たちを国家・社会の有為な人材に育むことが必要であると考える。
 
 
2 教職課程の質的水準の向上について
 
 今までの大学の教職課程が、教員としての必要な資質能力を確実に身につけさせるものと成り得ていなかったと指摘される点については、大学の反省を求めるものである。そこで、大学自身が教職課程の改善・充実に向けた主体的な取組に早急に着手すべきである。さらに、大学の改革と平行して、各都道府県や政令指定都市における教員採用の在り方についても議論していく必要があると考える。
 全日教連は、これまでも教員として専門的な知識・技能・実践力等を身につけるべきであることを提言してきた。このことについて、教職課程の中に新たに必修科目として「教育実践演習(仮称)」が設定されたことは大いに歓迎したい。「教育実践演習(仮称)」の履修により、教職員として採用された者が学校現場において即戦力となれるような、充実した科目となることを期待している。
 今後は、大学の改革とともに各都道府県においても、すべての教職員が教育専門職として必要な資質能力を向上させることのできる研修体制が、さらに整備されることを望む。
 
 
3 「教職大学院」制度の創設について
 
 教員の資質向上のために、教員養成系大学に置かれている大学院の教職大学院への改組転換や新設は、望ましいことと考える。
 教職大学院の目的が、より実践的な指導力・展開力を備えた、新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員の養成と、一定の教職経験を有する現職教員を対象にした、スクールリーダーの養成であることは理解できる。
 しかし、修了要件に研究指導等を要しないことで、所期の目的を充分達成しないまま修了してしまう学生が現れる懸念もある。特に、一定の教職経験を有する現職教員については、入学選考基準や修了要件等を厳しくすることや、現場に活きる実践力と教員としての人間力を育成するカリキュラムを作成するが重要であると考える。
 これらの条件の中で、より高い教員としての資質を身につけて大学院の課程を修了した者には、人事配置や給与などでインセンティブを持たせることが必要である。また、各都道府県における教員採用選考試験においては、教職大学院の修了者には通常の選考方法とは異なる観点・方法で選考するなどの工夫が必要であると考える。
 今後、教職大学院が権威ある大学院となるよう、現場教員の意見も参考にしながら、検討が深められることを望む。
 
 
4 教員免許更新制の導入について
 
 現在の国民の声から考えても、教員免許状に一定の有効期限を付し、その有効期限に合わせて研修を行い、教員が最低限の資質能力を保持することが大切であることは理解できる。また、保護者や子供たちの信頼を得ることのできない、いわゆる指導力不足教員や不適格教員に対しては、早急に適切な対応を施す必要があることは言うまでもない。
 全日教連が、教員免許制度についてのアンケート調査を行ったところ「免許更新制の導入が必要だ」と回答した者が46.9%、「必要だと思わない」と回答した者が53.1%であった。「必要である」主な理由は、「教員の意識改革になる」(32.9%)「教員の資質能力の向上につながる」(25.9%)「指導力不足教員や不適格教員が減る」(24.1%)であった。「必要でない」理由は、「更新制導入だけでは指導力不足教員等への対応にはならない」(32.0%)「10年経験者研修や不適格教員研修等、現行制度の充実を図るべきである」(29.9%)「更新のための新たな研修等、教員の負担が増え、子供と接する時間が減る」(24.8%)であった。
 以上の結果からも、教員免許の更新制の導入については、まだまだ検討する点があると考える。よりよい更新制の在り方を確立するために、次のことについて配慮し、検討を深められることを望む。
 (1) 教員に必要な基礎的要素を評価するシステムの確立
 
 教員には、学習指導や生徒指導等の技術的な側面と共に、技術面を裏付けるために豊かな人間性や社会性、コミュニケーション能力、教養、教育愛など、人格に深くかかわる要素が求められる。それらの基礎的要素についてどのように評価すればよいか、現時点では十分に確立したものとはなっていない。免許更新制を考えるならば、先ずそれらの評価システムを確立する必要があると考える。
 
 (2) 教員の資質向上のための現行制度との関連
 
 教員は、子供に質の高い教育を提供するために、常に自らの資質を高める必要がある。このような考えのもと、これまでに初任者研修や10年経験者研修等が制度化され、実施されてきた。免許更新制を導入にあたっては、現場教員の不安や新たな負担を生じさせないためにも、これらの研修をさらに充実させる方向で進めることが重要であると考える。
 不適格教員や指導力不足教員の認定及び再研修に関しては、ここ数年、各都道府県において積極的に取り組まれている。評価や研修期間中の給与の在り方、現場復帰のための要件等、検討すべき内容は多いが、この認定及び研修の制度も引き続き推進する必要があると考える。
 また、免許更新制の導入にあたって、現職の教員を対象とするかどうかが問題となっているが、この点も、移行措置として現行制度を充実することによって、実施できるものと考える。
 
 (3) 継続的な研修の推進と自動更新制の導入
 
 免許更新制を10年という一定の期間を設けて行う趣旨は理解できる。しかし、社会が日々変化している以上、私たち教職員は、絶え間ない研修が必要である。一定期限を区切って知識・技能・意欲を問うものではなく、継続的な研修を自らに課しているかどうかを問うことも重要であると考える。毎年行われる教員評価によって、それぞれが重点的に取り組むべき研修内容について明らかにし、計画的に資質向上を目指す、このような制度設計を進めるべきであると考える。
 したがって、免許更新制の導入においては、一律10年毎に研修を付加するのではなく、それぞれのそれまでの研修実績を加味することも大切であると考える。つまり、行政による研修はもちろんのこと、自主的に研修や実践を計画することによって、十分な資質向上を満たしている教職員には、自動更新を認めることも必要であると考える。ただし、このような制度の確立のためにも、新しい評価システムの作成が早急に望まれる。