平成16年6月22日
 
「与党教育基本法改正に関する検討会」中間報告についての意見
 
全日本教職員連盟
 
 私たち全日教連は、これまで一貫して教育基本法の改正の必要性を主張してきた。現在の教育基本法を否定するものではないが、これから先の新しい時代を生きる子供たちには、それにふさわしい教育基本法が必要である。現在の教育基本法は昭和22年に制定されて以来50年以上が経過し、制定当時の社会とはその情勢も大きく変わってきている。また、これから先もさらに変化の激しい時代となることが予想されるだけに、子供たちが心身共にたくましく育ち、それを生涯に亘って活かすことができるための教育基本法にしていくことは、我々大人の重大な責務であると言える。現在の教育基本法に足らないものを加えることによって、よりよい教育基本法とし、日本の教育を充実したものにするべきである。
 このような立場から、今回、与党教育基本法改正に関する検討会より出された中間報告は、教育基本法に盛り込むべき項目及び内容が今まで以上に具体的に示され、よりよい教育基本法の改正に向けて大きく前進していることを、全日教連としては支持する。特に支持できる点については以下に示す。
 
1 教育目標の明確化
 6項目におよぶ教育の目標が明確に示されている。その内容には、現在の子供たちに失われつつあるものが盛り込まれている。特に、「道徳心の涵養」、「伝統文化の尊重」や「国を愛する(大切にする)」という内容が明示されたことは、全日教連が常に重視している「心の教育」の充実につながるものである。
 
2 家庭・学校・地域の在り方
 教育の目的を実現するためには、改正案に新たに盛り込まれたように、「家庭」「学校」「地域」がそれぞれの役割を十分に果たし、連携協力することが重要である。そのことが、これまでは明記されていなかったこともあり、社会の変化に伴って生じた教育上の諸課題の解決を、すべて学校に求める傾向が見られた。
 また、現行の教育基本法制定当時は、家庭や地域における教育はごく自然のものであり、あえて教育基本法の中に盛り込む内容ではなかった。しかし、現在では個人主義の台頭により、家庭や地域の教育力の低下が大きな問題となってきている。今後、国・地方公共団体の協力のもと、家庭や地域の教育力を回復することは、子供たちの健全育成には不可欠なことである。家庭教育の在り方も、教育基本法の中に盛り込まれようとしていることは、意義あることである。
 
3 教育行政の在り方
 国が、教育の機会均等と水準の維持向上に責任を持つことが明記されている。現在、義務教育費国庫負担制度の一般財源化が検討されているが、あくまで教育については国が責任を持つのが当然である。地方がその実情に応じて、特色ある教育を展開することは重要である。しかし、その事が義務教育費国庫負担制度を廃止することにはつながらない。地方において多様で創造的な教育を展開するには、国による安定した財政的支援が必要不可欠である。今後も教育に関する施策を進める中心は国に置き、各都道府県において教育水準の差が出ることがないようにしなければならない。その上で、国と地方公共団体の両者が、それぞれの責任を自覚し、適切な役割分担をすることが必要である。
 
 
 この中間報告をもとに、これから教育基本法の改正に向け、さらに検討を進めることになると思うが、以下のことについては十分な配慮をする必要がある。ひとつは、国を愛する心や宗教的情操についての扱いである。これらは、今の子供たちはもとより、子供たちが将来に亘って必要な、人として生きる上での大切な道徳的価値である。したがって、「心の教育」との関連性を十分に考えて、教育基本法の中に明確に位置づけていくべきである。もうひとつは、ジェンダーフリー等の誤った男女平等観に基づくイデオロギー教育を防ぐことである。男女がお互いのよさを認め合った上で協力するという、本来在るべき男女共同参画の形を、教育の目標の中にある「男女の敬愛と協力」において、明確にすることが必要である。
 
 教育基本法の改正に関しては、我が国の教育を一日でも早く、将来を展望したよりよいものとするために、早急に検討を進め、改正を実現することが望まれる。全日教連は、今回の基本法改正の論議が、今の子供たちや将来の子供たちが健全に成長するために、そして子供たちを見守る社会全体の教育力を回復するためにという観点から深められていくことを強く望む。