小学生が同級生にカッターナイフで切られ死亡した事件について
全日本教職員連盟
委員長 三好祐司
今回、長崎で起こった事件について、全日教連として大変遺憾であり、大きな悲しみを覚える。被害に遭われた御手洗怜美さん及びご家族に、心より哀悼の意を表したい。昨年の長崎幼児誘拐殺人事件に対して、全日教連は、教職員が児童生徒に規範意識を教え、「心の教育」の充実に努めるという緊急アピールを出したが、またもこのような痛ましい事件が起きてしまったことは残念でならない。
小学6年生といえば、小学校教育の最終段階として基礎的な学力が身に付くと同時に自己の確立が見え始め、視野の広がりから将来に対する大きな希望を持つ時期である。その一方で、思春期の入り口に立ち、様々な悩みを抱えていることも多い。
小学生が、人の命を奪うという絶対にあってはならないことが起きた事実を、私たちは重く受け止めなければならない。この事件を未然に防ぐことはできなかったのか、被害者だけでなく加害者を救うことはできなかったのか、私たちは我が事として真剣に受け止めなければならない。
近年における情報化・都市化に伴う社会全体のライフスタイルの変化の中で、子供たちは一人で過ごす場面が増えており、対人関係が希薄であったり、自分を律する心が不十分であったりといったことがしばしば指摘されてきた。そのため、学校・家庭・地域社会は相互に連携し、「豊かな人間性」の育成を重視することによって、子供たちに真に「生きる力」をつけようと懸命に努力してきたところである。
時代の変化にかかわらず、人として生きる上での価値観に変化はないはずである。その価値観をきちんと子供たちに教えてきたかを、私たち大人は問い直す必要がある。
自由や権利は確かに大切ではあるが、それだけでは子供たちの健全な心身の発達は望むべくもない。私たち大人は、言うべきは言い、教えるべきは教えなければならない。教育活動のすべてが子供たちの価値観の形成につながっていることを肝に銘じ、今後ますます「心の教育」の充実を図るべきである。
子供たちに学力をつけると共に「心」を育てることは、私たち教職員に課せられた重い職責であることを再認識しなければならない。私たち教職員は、子供たちが元気でのびのびと育ち、将来への希望を抱いてすばらしい人生を切り拓くことの支えとなり得ることを自覚したい。一瞬にして夢や希望を奪い去ってしまう、このような痛ましい事件を二度と起こしてはならない。